※写真はイメージです。
できる
円山動物園では、AIを動物の健康管理に利用しています。
飼育員は複数種の動物を担当していたり、その他の業務もあったり、いつも動物たちの様子を観察していることができません。
そこで、カメラの映像を利用して動物たちの行動を人工知能(AI)が自動で認識し、健康状態や異常行動を把握するシステムの開発が行われています。
AI導入のきっかけ
円山動物園では、2003年から人間の管理不行きで、さまざまな動物の死亡事故が発生しました。
特に2015年にはマレーグマのメスがオスによる暴行で死亡するという衝撃的な事故が起きました。
来場客の撮影した映像がYouTubeで拡散され、大きな話題と批判を浴びました 。
このような事態を受けて、円山動物園は飼育の管理体制の改善を検討しました。
しかし、単純に人手を増やすことはコスト面や人材確保面で現実的ではありませんでした。
そこで目をつけたのが、AIや画像認識技術を活用して、飼育員のいない時間帯にも動物たちの様子を把握できるシステムを作ることです。
AIでどう管理しているか
円山動物園では、チンパンジーやアジアゾウなどの映像に対して、顔認識や行動分類などの技術を使っています。
例えばチンパンジーでは、9頭それぞれを顔認識システムで特定しています。
歩く、止まる、エサを食べる、遊ぶなど5種類の行動を約76%の精度で分類できます。
またアジアゾウでは、象の位置を特定して追跡し、その後どのような行動を行っているかも分析しています。
これらの技術により、日々の活動記録が自動で得られるようになります。
それによって飼育員は、以前の行動と比較して相違点や異常点に気づきやすくなります。
また普段見られない夜間や早朝などの時間帯でも、AIが監視してくれるため安心です。
他にもAIが活躍する事例
円山動物園だけでなく、他にも動物の健康管理にAIが活用されている事例があります。
例えば、東京農工大学や東京大学などの研究チームは、牛の首に装着したセンサーで牛の行動や体温を測定し、AIで分析することで発情や病気の兆候を検知するシステムを開発しています。
これにより、牛の状態をリアルタイムで把握し、適切な飼育管理や繁殖管理ができるようになります。
動物は人間と違い言葉で不調を伝えることができません。
このようなシステムが普及すれば、動物たちの幸せにつながると感じます。
現在開発中のものもあり、今後いろいろなものでAIが活用されると思うと楽しみですね。
この記事を書いた人:倉田麻依