二ホンリスが子どもを守るために《軽井沢Kazusaの森から 4》

メロウは毎年春に出産をして、新しいいのちを森に送りこんでいました。

今ごろどこにいるのでしょう。

世代交代で森を娘のミミィに譲り渡したとはいえ、やっぱりメロウのことが気にかかって仕方がありません。

ニホンリスは一婦多夫?

日本では特定外来種に指定されているタイワンリスは、乱婚の配偶システムをもつことがわかっています。

つまり、オスもメスも複数の相手と交尾をするのです。

だからすごい勢いで増えていくんですね。

ではニホンリスはどうなのでしょう。

10年ほど前にその観察をした研究者がいるそうです。

そしてニホンリスの1匹のメスが複数のオスと交尾をしたという記録を残しているとか(※)。

それを考えると、メロウも何匹かの男の子と交尾をしたとしても不思議ではありません。

当然、ミミィと、ミミィと同胎のお兄ちゃん(弟かも?)のパパが違うということがあり得るわけです。

(※)参考文献:リスの生態学(田村典子 著/東京大学出版会 発行)

『子殺し』をさけるための知恵かも……?

野生の森では、生まれた赤ちゃんが生き残る確率はそう高くはありません。

嵐などの天災もやってくれば巣から落っこちてしまうといった事故も起こります。

天敵だって、いつ赤ちゃんをさらおうかと虎視眈々。

ママは気持ちの休まるときがありません。

もうひとつ、オスの『子殺し』もあります。

野生の動物には多いのですが、軽井沢にいるツキノワグマのオスたちも例外ではありません。

ママさんクマは赤ちゃんを生むと2年くらいは母子いっしょに暮らします。

そして子どもといっしょの間は、ママさんクマは発情をしないのです。

オスグマにとって、それはとっても困ることです。

早くメスグマに発情をしてもらわなくては自分のDNAを残せないからです。

そこで、オスグマは、子グマを殺そうと、子連れのメスグマを襲うのです。

ママさんグマは必死で子どもを守ろうとオスグマに立ち向かっていきます。

でも、大きなオスグマにはかなわずに殺されてしまうママさんグマもいます。

ですので、軽井沢では子グマを保護することもめずらしくありません。

まだ自分でえさをとることもできない赤ちゃんグマが。

それと同じことがニホンリスの世界でも起こっているのかもしれません。

だから、ニホンリスのママたちは、その森にいるオスたちの子どもを生んで、子殺しに合わないようにしているのかもしれません。

自分のDNAをもつ子どもはいくらなんでも殺さないだろう、と考えて……。

このように森では、いのちを守るためにママたちが知恵を駆使して涙ぐましい努力をしているのです。

(写真:イメージ)

この記事を書いた人: Kazusa